ご挨拶 京都府 現代の名工 受彰によせて
平素はご高配を賜り御礼申し上げます。
さて、このたび京都府より令和2年度「現代の名工(京都府優秀技能者)」の称号を授与されました。
これもひとえに皆様のご指導ご支援の賜物と厚くお礼申し上げます。
今春、未曽有の状況下での表彰式であったため、今日あらためての報告になります事をお詫び申し上げます。
かつて同じ称号を受けた先代より一子相伝で味を学び、代替わりしてから干支も一回り以上がすぎました。
幼いころ、樽から引き揚げた千枚漬をくるりと巻いて味見させ「今日(の味は)はどうや?」と笑った父。
千枚漬の季節が来るたび追い続けた背中にほんの少し近づけたような、身の引き締まる思いが致します。
慶応に始まり明治、大正、昭和、平成、そして令和。
六つの時代を重ね、五人の当主に伝承された大藤の暖簾と千枚漬。
お客様からの「今年も変わらず美味しいぇ」というお声を励みに、驕ることなくただこつこつと本年も大藤の味を作り続けてまいります。
「初心忘るべからず」
是非の初心も、時々の初心も、老後の初心も。
この冬もどうぞご贔屓に。
令和3年10月吉日
千枚漬本家 大藤 五代目 山 﨑 眞 理